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日本語要約

Plant Biotechnology  Vol 28. No. 5 日本語要約
Umehara M et al. (2011) Strigolactone, a key regulator of nutrient allocation in plants. 28: 429-437
ストリゴラクトンの生理作用は、根寄生植物の種子発芽刺激、アーバスキュラー菌根菌の菌糸分岐誘導、植物の枝分かれ抑制と多岐に及ぶ。また、多くの植物でストリゴラクトンが検出されており、その生産量は窒素やリン酸の欠乏に応答して増加することが報告されている。本総説では、ストリゴラクトンが植物の栄養分配制御にどのように関わっているか現在の知見をもとに議論する。
Takase T et al. (2011) Characterization and transgenic study of CONSTANS-LIKE8 (COL8) gene in Arabidopsis thaliana: expression of 35S:COL8 delays flowering under long-day conditions. Plant Biotechnol 28: 439-446
我々はCO/CONSTANS-LIKE(COL)タンパク質ファミリーに属するCOL8の特徴づけを行った。COL8のmRNAは種子、葉、花、莢で蓄積した。COL8を過剰発現したシロイヌナズナ形質転換植物は長日条件で野生型よりも花成が遅延し、この形質転換植物では野生型に比べてFTの発現が減少した。
Yokoyama M et al. (2011) A novel root inducer, 4-(3-indolyl)-4-butanolide (IBL), is formed at an early stage in Bupleurum falcatum L. root cultures containing indole-3-butyric acid (IBA). Plant Biotechnol 28: 447-453
インドール酪酸(IBA)を用いたミシマサイコ(Bupleurum falcatum L.)の不定根培養系において、培養初期時に新しいIBA類縁化合物[4-(3-indolyl)butanolide, IBL]が生成されるのを見出した。化学合成により製造したIBLはミシマサイコおよびリョクトウにおいて発根誘導活性を示したが、オーキシン特有の皮層細胞の拡大現象を伴わないなど、発根特性が異なっていた。
Saito T et al. (2011) An Investigation of differences in fruit yield and components contributing to increased fruit yield in Japanese and Dutch tomato cultivars. Plant Biotechnol 28: 455-461
 
日本とオランダのトマト品種間の果実収量差の要因を明らかにするため、合成速度,葉面積,受光量調査および葉から果実へのスクロースの輸送を担うLeSUT1の発現解析を行った。オランダのトマト品種が日本品種と比較して高収量なのは、スクロース輸送活性の差ではなく、高い光合成速度と受光量の多さ、そして着果数の多さによるシンク容量の大きさが原因であると考えられた。
Sasayama D et al. (2011) MAP3Kδ4, an Arabidopsis Raf-like MAP3K, regulates plant growth and shoot branching. Plant Biotechnol 28: 463-470
シロイヌナズナのMAP3Kの1つであるMAP3Kδ4を過剰発現したシロイヌナズナは成長が活発になり、種子重量も増加した。一方キナーゼ活性を欠損した不活性型MAP3Kδ4を過剰発現すると活発に枝分かれし種子数が増加した。遺伝子発現解析からMAP3Kδ4はオーキシンに応答して植物の成長制御に関与している可能性が高い。
Hirakawa H et al. (2011) Survey of the genetic information carried in the genome of Eucalyptus camaldulensis. Plant Biotechnol 28: 471-480
 
ユーカリ属の持つ遺伝情報を解明する目的で、Eucalyptus camaldulensisのゲノムとcDANの配列情報をサンガー法と新型シーケンサーによる解析を併用して解析した。得られた656Mbpのゲノム配列上に77,121のタンパク質コード遺伝子が予測され、それらの遺伝子の比較解析からユーカリ属の遺伝子構成の特徴が明らかとなった。この解析で得られたE. camaldulensisゲノム情報は、ユーカリ属や関連植物の基礎研究、応用研究を促進するものと考えられる。
Minami T et al. (2011) In vivo bioluminescence monitoring of defense gene expression in response to treatment with yeast cell wall extract. Plant Biotechnol 28: 481-484
出芽酵母細胞壁抽出物由来の植物活性化剤(豊作物語:HM)は様々な植物病害のコントロールに有効であることが示唆されている。HMによる遺伝子発現について検討する目的で,レポーター遺伝子を導入したシロイヌナズナを用いて調べたところ,SARおよびISR系の防御応答遺伝子発現誘導が異なるタイミングで起こっていることが明らかとなった。
Takahashi M et al. (2011) Prolonged fumigation with atmospheric nitrogen dioxide increases fruit yield of tomato plants. Plant Biotechnol 28: 485-487
大気中二酸化窒素(NO2)は植物の栄養素の吸収や代謝を活性化して植物の生長や発達を促進する(NO2の植物バイタリゼーション効果)。本研究では、トマト品種マイクロトムの果実収量におけるNO2の効果を研究した。NO2を含む空気で栽培すると、NO2を含まない空気で栽培したときに比べて、果実収量が約40%増加した。さらに、開花まで日数が3.2日短縮し、花数が60%増加した。
Takemura M et al. (2011) Blue light enhances the accumulation of eicosapentaenoic acid in a liverwort, Marchantia polymorpha L. Plant Biotechnol 28: 489-492
ゼニゴケは、高等植物が合成していないエイコサペンタエン酸(EPA)を合成している。EPA蓄積に対する光質ならびに光量の影響を調べた結果、短期間の青色光照射は、ゼニゴケの生育を阻害することなく効率的にEPA蓄積を促進した。また、高光量の白色光照射によって、EPA相対含量が増加した。
Nagaya S et al. (2011) Endogenous promoter, 5’-UTR and transcriptional terminator enhance transient gene expression in a liverwort, Marchantia polymorpha L. Plant Biotechnol 28: 493-496
ゼニゴケの一過的遺伝子発現システムを用いて、ゼニゴケ内在性のMpEF1αプロモーターがCaMV35Sプロモーターに比べて75倍、MpFT1ターミネーターがNOSターミネーターに比べて3倍、一過的遺伝子発現を上昇させることを見出した。さらに、MpUDPの5’-UTR配列の付加によって、15倍の遺伝子発現上昇効果が得られた。
Tanase K et al. (2011) The promoter from tomato sucrose synthase, TOMSSF drives stamen-specific gene expression in Chrysanthemum. Plant Boiotechnol 28: 497-501
雄ずい特異的プロモーターは遺伝子組換えによる雄性不稔植物作出に有用である。トマトのショ糖合成酵素遺伝子のプロモーター(TOMSSFプロモーター)をGUSレポーターに連結しキクに導入した。TOMSSFプロモーターは雄ずいで高いGUS発現を誘導し、キクにおいて雄ずい特異的プロモーターとして有効であることが示された。
Mimida N et al. (2011) Effects of plant hormones on expression of MdTFL1 promoter fused ß-glucuronidase (GUS) reporter gene in apple (Malus × domestica Borkh.) tissues in vitro. Plant Biotechnol 28: 503-508
オーキシンとサイトカイニンがMdTFL1 (花成抑制遺伝子) pro::GUSの発現に与える影響をin vitro組換え体リンゴを用いて調査した。その結果、サイトカイニンは発生した直後のシュート全体で、オーキシン+サイトカイニンは茎頂で、強くMdTFL1pro::GUSの発現を誘導した。
Yamada K et al. (2011) Expression of foreign aquaporin genes in lily pollen protoplasts. Plant Biotechnol 28: 509-514
  
テッポウユリ花粉のプロトプラストは大型で均質であり、また原形質膜アクアポリン(PIP)の発現も検出されない。テッポウユリ花粉プロトプラストにエレクトロポレーションでシロイヌナズナPIP2遺伝子を導入すると、水透過性の促進が観察された。ユリ花粉プロトプラストは、PIPの簡易的な機能解析系として利用できる。
Matsushita T (2011) A versatile method to prevent transcriptional gene silencing in Arabidopsis thaliana. Plant Biotechnology 28:
Transcriptional gene silencing(TGS)は、形質転換植物において複数の外来遺伝子がプロモーター領域間の相同性により不活性化される現象である。本研究にて私は、形質転換シロイヌナズナにおいて、簡便に、かつ完全に、TGSを抑える技術を報告する。本技術は、遺伝子導入可能なあらゆる植物種に応用可能であるため、基礎研究から応用研究まで、様々な場面で活用されることが期待される。
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