会長挨拶

 日本植物細胞分子生物学会は、2016年7月1日をもって一般社団法人となりました。新法人発足の初めの2年間、会長を務めることになり身が引き締まる思いがいたします。新法人設立にあたり、まず、法人化に向けての膨大な仕事に邁進された橋本 隆前会長、小泉 望前幹事長を始め前執行部の方々に敬意を表します。新しい理事会では、岡澤敦司幹事長、關 光会計幹事、溝口 剛編集委員をはじめ、他の新理事と協力しながら、一体となって滞りない学会運営を目指します。

 日本植物細胞分子生物学会の前身である日本植物組織培養学会は、国際植物組織培養学会(IAPTC)の日本支部として1981年に設立されました。さらに、1995年に植物核酸タンパク質研究会と統合し、日本植物細胞分子生物学会と改称されました。一方学会誌は、1984年に植物組織培養 (PLANT TISSUE CULTURE LETTERS)が刊行された後、1997年発刊分から全文英語化され、会誌名もPlant Biotechnologyと改称されました。

 本学会は、このような従来の組織培養と遺伝子工学を活用した植物バイオテクノロジーはもとより、代謝工学、分子遺伝学、基礎植物生理学、オミクス解析、バイオインフォマティクス、ゲノム科学等幅広い学問分野について、出身分野の枠を超えた横断的な研究者交流の場として、また、我が国の科学技術の発展に寄与してきました。さらに、近年、ゲノム編集技術の登場により新たな研究領域が開拓されつつあり、これらの技術の開拓、発展、そして社会実装への貢献がますます求められる時代に突入しています。

 定款で、新法人の目的を「本会は植物組織培養、分子生物学及び細胞工学の基礎研究とその応用開発研究の発展をめざして、理学、農学、薬学、工学など多方面の分野における研究者の協力と研究情報の交流を図ることを目的とする。」としております。自由闊達な本学会のよさを引き継ぐのと同時に、一般社団法人としてより社会に開かれた組織として、技術の高度化を支えると共に、科学技術を社会に還元し、人類の持続可能な社会構築に寄与できるように理事会が一丸となり本学会を支えていきたいと思っております。

 新理事会は以下の基本方針で取り組みます。

  1. 国内の植物バイオテクノロジーの拠点として学術研究の発展・普及・社会還元の活動を行います。

     他の関連学会との積極的な交流を促すとともに、サイエンスカフェなどの普及・社会還元活動を支援します。また、Plant Biotechnology誌のPubMed登録を目指します。

  2. ワーキンググループでの成果を元に委員会活動を開始します。

     2011年の学会30周年を契機にロードマップが作成され、学会賞検討、大会、産学連携、国際化、キャリア支援、男女参画、サイエンスコミュニケーションなどのワーキンググループ(WG)として積極的な提言ならびに活動がなされてきました。これまでのWGでの成果を踏まえ、国際化、産学連携、キャリア支援・男女参画、広報などの委員会を新たに設置し、より具体の活動を行います。

  3. アジアとの連携を深め、国際化対応を目指します。

     これまで韓国植物バイオテクノロジー学会との定期的なシンポジウムを開いてきましたが、中国を加えた日中韓の交流を開始します。またアジアを主体とした留学生や海外からの研究者が参加しやすい年会を目指します。

  4. 植物組織培養技術の継承・普及を推進します。

     モデル植物から実用植物へと研究が進み、さらにはここ数年の間に急速に発展したゲノム編集などのNBT技術において、本学会発足の基盤である「組織培養技術」の必要性が再評価されています。産学官に蓄積された組織培養技術を掘り起こし・継承・普及を推進します。

会員の皆様方には、これまでと変わらぬご協力・ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 日本植物細胞分子生物学会 会長(代表理事)
村中俊哉